反抗的な態度を取る社員を解雇したいが解雇理由になる?
従業員の中には反抗的な態度をとるものがいます。会社としては非常に扱いにくいと感じるでしょう。
このような従業員を解雇することはできるのでしょうか? 法律では、解雇できるケースが厳しく制限されているので正しく理解しておきましょう。
以下では、協調性がなく反抗的な態度を取る従業員を解雇できるのか解説します。
従業員の態度の程度によって結論が異なる
反抗的な態度を原因として、解雇することができるのでしょうか?
これについては、従業員の態度の程度により異なります。
それは、会社が解雇を行うとき、解雇の合理性と社会通念上合理的であることが必要になるからです。
従業員が反抗的な態度を取るからといっても、それが許容できる範囲のものであれば解雇はできません。
解雇ができるのは、円滑な業務遂行に支障が発生して他の従業員の士気にも悪影響を及ぼしたり、社内の秩序を乱したりする状態になっているようなケースです。
まずは、教育指導を行うべき
また、会社が従業員を解雇するときには、社会的相当性が必要とされます。
社会的相当性というのは、一般社会の通念において解雇がやむを得ないと考えられることです。
ここで、会社が解雇を避けるために努力したかどうかが問題となります。
従業員が反抗的な態度を取っているといっても、いきなり解雇することは認められず、まずは改善のために指導教育を行うことが必要です。
それでも改善、矯正ができないときに、ようやく解雇が有効になる可能性が出てきます。
懲戒解雇できるケース
解雇には、普通解雇と懲戒解雇があります。
懲戒解雇を行うためには、会社が就業規則に定めた懲戒事由に該当することが必要です。
また、懲戒としての解雇が処分として重すぎないことも必要となります。
反抗的な態度を理由として懲戒解雇ができるのは、以下のようなケースです。
積極的かつ意識的な反抗がある
単に協調性がないとか、指示命令に従わないという「不作為」ではなく、「積極的・意図的な言動」がある場合です。
解雇がやむを得ないと判断される
反抗行為の内容や程度、職場に与えた影響や従業員の反省の有無・程度などを考慮して、解雇がやむを得ないケースです。
たとえば、上司が何度も注意をしているのに、「馬鹿馬鹿しい」「従う気はありません」などと他の従業員がいる前で公言するような場合には、懲戒解雇が認められやすいです。
協調性欠如により、解雇を認めた裁判例
たとえば、香料の会社において従業員が上司に対し、「口出しされたくない」、「いちいち言われたくない」と言ったり、「上司らしいことをしていないのに、上司面するな」などと怒鳴ったりした事案で、解雇が有効とされたものがあります(大阪地裁 平成10年7月29日)。
以上のように、反抗的な態度を理由として解雇が認められる例はありますが、解雇権濫用にならないように慎重に進める必要もあります。
迷われたときには、弁護士にご相談ください。
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