無断欠勤をする社員を解雇したいが、解雇理由になる?
無断欠勤を繰り返す社員がいる場合、会社としては辞めてほしいと考えるものです。
ただ、いったん社員を雇い入れたら、簡単に解雇できるものではありません。
無断欠勤をするからといって解雇できるものなのでしょうか? どのくらいの欠勤があると、解雇できるのかも押さえておきましょう。
以下で、無断欠勤が解雇理由になるのかご説明します。
解雇が認められるための要件
会社にとって、無断欠勤をする従業員がいると辞めてもらって当然と考えるかもしれません。
しかし、法律は、こういったケースでも常に解雇を有効とは考えていません。
1日や2日、無断欠勤しただけでは解雇することはできません。そのような場合、懲戒解雇をしても懲戒権の濫用と言われてしまうおそれが高いです。
解雇が有効になるためには、
・解雇が法律に違反しないこと
・解雇予告などの手続きを守っていること
・解雇権あるいは懲戒権の濫用にならないこと
が必要です。
無断欠勤で解雇できる場合
それでは、無断欠勤で解雇ができるのは、どのようなケースなのでしょうか?
懲戒解雇の場合
懲戒解雇をするためには、就業規則に定められた懲戒事由に該当することが必要です。
多くの会社では、「〇日以上無断欠勤をすると、懲戒解雇できる(日数については、各会社によって異なる)」と定めています。
ここで、14日以上の無断欠勤があると、ほとんどのケースで懲戒解雇が有効となります。その旨の厚生労働省による通達があるためです(S23.11.11基発1637号)。そこで、就業規則を定めるときには、「14日以上」としておくと良いでしょう。
懲戒解雇ができる場合には、労働基準監督署に届け出ると解雇予告や解雇予告手当が不要になります。
普通解雇の場合
無断欠勤の日数が5日や7日など場合には懲戒解雇が有効にならないこともありますが、普通解雇ができる可能性があります。
普通解雇が認められるためには、解雇の合理性と社会的相当性が必要となります。
これらの要件は厳しく判断されますが、連続した無断欠勤が短くても過去に何度も無断欠勤がある場合などには解雇が認められる可能性が高いです。
また、無断欠勤以外に日頃の業務態度が悪いケースなどでも、解雇が認められやすいです。
なお、普通解雇の場合には、解雇予告や解雇予告手当が必要となります。
無断欠勤で解雇をするときの手順
無断欠勤が続いていると、会社としては即刻解雇したくなるかもしれません。
しかし、いきなり解雇をしても認められない可能性があります。
そこで、まずは解雇を回避するため、無断欠勤を控えるよう改善指導をする必要があります。
また、連絡が取れない場合であっても、いきなり解雇予告通知を送ると「不当解雇」と主張されてトラブルになるおそれがあります。
まずは、「〇〇までに連絡をいただけない場合、就業規則の定めに従って解雇をします」という内容の通知をしましょう。このとき、証拠を残すために内容証明郵便を利用すべきです。
そのうえで、相手が連絡をしてこないときに、解雇の手続を進めていくと良いでしょう。
以上のように、従業員が無断欠勤をする場合にも解雇のために検討すべき課題がたくさんあります。
迷われたときには、弁護士に相談することをお勧めします。
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