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不当解雇解説

不当解雇があったときに活用できる失業保険について

会社から不当に解雇されてしまったとき、労働者には賃金が入ってこなくなるので、お金に困ってしまうケースがあります。

そのようなときには「失業保険」を活用して、給付を受けられる可能性があります。

ただし失業保険を利用する際には注意点もあります。

今回は、不当解雇されたときの失業保険活用方法について、解説します。

失業保険と不当解雇

失業保険とは、労働者が会社を退職し、仕事を失ってしまったときに給付金を受け取れる保険です。

「雇用保険」ともいわれます。

一定期間勤務を続けた後に退職すると、失業保険の給付を受けられます。

不当解雇された場合にも、職を失って賃金が入ってこなくなるのですから、失業保険の給付が認められる可能性があります。

しかし、失業保険を受け取る際には、「すでに退職している」ことが前提となります。

労働者の方が不当解雇の無効を主張して争う場合、「解雇が無効」であり「退職していない」ことになるので矛盾が発生します。

そこで、不当解雇されたときには、失業保険の「仮給付」を申請する必要があります。

仮給付とは、不当解雇や退職勧奨などの事案で「失業」しているかどうか争われている場合に、仮に失業保険の給付を受ける手続きです。

失業保険・仮給付の申請方法

一般的に失業保険の給付を申請するためには、原則7日間の待機期間を過ぎた後、管轄のハローワークに以下の書類を提出する必要があります。

 離職票
 マイナンバーを確認できる書類(マイナンバーカードや個人番号通知カード、個人番号が記載された住民票など)
 身分証明書(運転免許証など)
 印鑑
 写真

会社が離職票を発行してくれない場合には、なくても申請できます。

失業保険の「仮給付」を申請するときには、上記に足して「解雇の効果を争っている事実」を証明する資料が必要です。

以下のようなものを集めましょう。 

 弁護士が作成した内容証明郵便
 労働審判や労働訴訟の資料
 労働委員会のあっせん手続きに関する申立書や受理証明書

仮給付金を返さなければならないケース

仮給付は、解雇あるいは退職が有効であることを前提とした仮の給付です。

そこで、もしも不当解雇を争うことにより、解雇が無効であることが決定された場合には、仮給付によって受け取った失業保険を返さなければなりません。

たとえば、労働審判や労働訴訟により、裁判所が「解雇無効」と判断したケースでは、そもそもはじめから「失業」していなかったことになるので、それまで受け取った給付金を返還する必要があります。

ただしその場合、会社は解雇当初から「賃金」を支払い続ける必要があったことになるので、会社に対して未払いになっている賃金を請求できます。

解雇を受け入れる場合の「退職日」について

不当解雇されたとき、当初は解雇の無効を主張していても、最終的に和解をして解雇を受け入れるケースがあります。

その場合には、解雇日をいつに定めるかが重要となります。

このとき、「合意時」に退職したことになると、合意するまでは在職していたことになるので、合意までに受け取っていた仮給付金を返還しなければなりません。

これに対し、「不当解雇された日」を退職日としたら、その後に受け取った失業保険を返還する必要はありません。

そこで、失業保険受給中に会社と和解するときには、退職日を「不当解雇された日」にする必要があります。

会社はこのような事情にまで配慮してくれないことが大半ですから、労働者側でしっかり対処すべきです。

以上のように、不当解雇のケースでも失業保険を利用できますが、その際には通常の失業保険申請手続とは異なる配慮が必要となります。

不当解雇に遭って対応にお困りのケースでは、労働問題の専門家としての弁護士まで、お早めにご相談下さい。

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